脳外科手術は“覗く時代”の終わりへ
- S A
- 2025年12月13日
- 読了時間: 4分
顕微鏡から外視鏡へ──NurCe が現場最前線から伝える新潮流
〜 高齢化が進む日本で、脳神経外科医療はどうアップデートされているのか 〜
脳卒中・頭部外傷は、いまや日本の高齢者にとって最大級のリスクです。寝たきりの多くは脳血管疾患や外傷後の後遺症が原因であり、看護の質が患者の予後を左右する時代になっています。
私たち 一般社団法人 脳神経外科看護研究会(Neurosurgery Nursing Course:NurCe) は、“寝たきりを減らし、脳外科看護の力で日本の医療をよくする”という理念のもと、最新のエビデンスと現場知を発信しています。
今回のテーマは、脳外科医療の現場で静かに起こっている“大きな変化”です。
■ 手術室で起きた「小さな革命」──きっかけは外視鏡のデモ
NurCe代表・脳神経外科医 下田健太郎(苑田第一病院 脳神経外科) が勤務する現場で、ある日、手術室がざわつきました。
理由は、新しい外視鏡のデモ導入。
「深部のこの角度…顕微鏡じゃ絶対に見えないぞ」「姿勢めっちゃラク!」「器械出しも術野が共有できて分かりやすい!」
医師だけでなく、看護師、臨工、放射線技師まで、即座に“これは時代変わるな”と感じるほどのインパクトがありました。

■ 顕微鏡から“外視鏡”へ──世界的な潮流
長年、脳外科手術の主役だったのは目で覗き込むタイプの手術用顕微鏡。
しかし今世界では、
カメラで撮り、画面を見ながら操作する外視鏡手術
が急速に広がっています。
● 日本脳神経外科コングレスでは、 外視鏡を用いた低侵襲手術の演題数が2022〜2024で右肩上がり● 学会技術動向でも「外視鏡は今後さらに普及する」と明記 (出典:日本脳神経外科学会 技術動向 2023)
医療の“視点”が大きく切り替わろうとしています。
■ 外視鏡の魅力
脳外科看護師・コメディカルにこそ伝えたいポイント
① 姿勢がラク:術者も看護師も疲れにくい
顕微鏡では術者の首・肩・腰への負担が大きく、器械出し看護師から見えにくいこともありました。
外視鏡は大画面モニターを見て操作するため、チーム全員が自然な姿勢で術野を共有できます。
(出典:JNS ペインポイント調査 2023)
② 小開頭・深部へのアプローチに強い
カメラの角度調整が自在で、“覗き込めない深さ”にも対応できるため、より低侵襲な手術が可能に。
(出典:日本脳神経外科学会 低侵襲化動向 2023)
③ 教育効果が圧倒的に高い
術野を同じ画面で共有できるため、● 若手医師の教育● 術式理解が必須の器械出し看護● 周術期看護を学ぶ若手スタッフすべてに“分かりやすい”環境が生まれます。
顕微鏡で見えていたのは、これまで“医師の視点だけ”でした。
④ コストが顕微鏡の約半額
外資系顕微鏡の1/2ほどの価格で導入できるため、中小規模病院でも導入しやすいという現実的メリットも。
■ デメリットは「慣れ」だけ
しかし、現場では…
外視鏡最大の壁は、「覗く手技」から「画面を見る手技」へのシフト。
しかし実際に深部血管縫合を試したところ、
「意外とすぐ慣れる」「むしろ見やすい」
などの声が多く、スタッフの順応は想像以上に早いものでした。
■ オリンパスの顕微鏡撤退が象徴する“時代の変化”
2020年、オリンパスは従来型顕微鏡事業から完全撤退し、外視鏡技術へ注力する方針を発表。(出典:Olympus IR情報 2020)
この決断は、“もう顕微鏡だけの時代ではない”という世界的なメッセージといえます。
■ NurCeは、脳神経外科医療の進化を
現場からわかりやすく伝え続けます
私たちNurCeは、高齢化で増加する脳卒中・頭部外傷から寝たきり患者を減らすため、看護の質を高めることを使命としています。
最新技術を知ることは、患者の予後改善、転倒防止、再発予防に直結します。
脳外科看護の“アップデート”は、現場を救う。
代表 下田健太郎(苑田第一病院 脳神経外科)を中心に、これからもエビデンスに基づく情報を発信し続けます。
■ 次回予告
**「最新・高血圧ガイドライン改訂」
脳外科でどう活かす?看護はどう変わる?**
脳外科病棟・SCU・救急で働くスタッフの皆さんが“明日から使える知識”を解説します。
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