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胃管がスルッと入る!ベテラン脳外科医が教える7つのコツ

  • 4 日前
  • 読了時間: 5分

「胃管は力で入れるものではない。」

ベテラン脳外科医ほど、そう口にします。実は、うまく入る人には共通した“7つのコツ”があるのです。


「また途中で止まった……」


胃管挿入の場面で、そう感じたことのある看護師さんは少なくないでしょう。


患者さんは苦しそう。

何度やっても咽頭部で引っかかる。咳き込まれると、

「気管に入っていないだろうか」と不安になる――。


胃管挿入は日常的な処置でありながら、実は経験やちょっとしたコツで成功率が大きく変わります。


私自身、脳神経外科医として数多くの胃管挿入を経験してきました。

若い頃は苦戦した症例もありましたが、体位、嚥下のタイミング、頸部の向きなど、いくつかのポイントを意識することで驚くほどスムーズに挿入できるようになりました。


今回は、脳卒中患者や高齢患者を多く診療する現場で実際に役立っている、

「胃管がスルッと入る7つのコツ」をご紹介します。


明日からの胃管挿入が少し楽になる。そんなヒントを、一緒に確認していきましょう。


コツ① まずは体位を整える


胃管挿入の成功率を左右する最初のポイントは、実は「技術」ではなく体位です。


可能であればベッド頭側を30〜45°程度挙上し、患者さんに軽くあごを引いてもらいましょう。この姿勢をとることで食道へのルートが確保され、胃管が自然に進みやすくなります。

「なかなか入らない」と感じたときほど、まず体位を見直してみてください。無理に押し込むより、体位を整える方が近道になることは少なくありません。



コツ② 潤滑剤と鼻孔選びで成功率が変わる

胃管の先端には、キシロカインゼリーなどの潤滑剤を十分に塗布しましょう。

潤滑剤によって鼻腔内の摩擦が減り、患者さんの苦痛軽減につながります。


また、左右の鼻孔を観察し、通りの良い方から挿入することも重要です。


一般的には右鼻腔の方が通りやすいと言われますが、鼻中隔弯曲や既往歴によって個人差があります。


挿入前の数秒の観察が、その後の数分を大きく変えることがあります。



コツ③ 嚥下を味方につける

胃管が咽頭部まで到達したら、患者さんの「飲み込む力」を利用します。

唾液を飲み込んでもらったり、水分摂取が可能な患者さんであれば少量の水を飲んでもらったりして、そのタイミングに合わせて胃管をゆっくり前進させます。


嚥下時には食道入口部が開くため、胃管は驚くほどスムーズに進むことがあります。


胃管挿入は、押し込む処置ではありません。患者さんの生理的な動きを味方につける処置なのです。



コツ④ 咳き込みは危険信号

患者さんが激しく咳き込んだり、呼吸苦を訴えたりした場合は要注意です。


気管内へ誤挿入している可能性があります。


そんなときは、「あと少しだから」と無理に進めてはいけません。

一度手を止め、患者さんの状態を確認しましょう。


特に脳卒中患者では、意識障害や延髄障害によって嚥下反射や咳反射が低下していることがあります。


誤挿入のサインが乏しいこともあるため、「症状がないから大丈夫」とは言い切れません。普段以上に慎重な観察が必要です。



コツ⑤ 頸部回旋で“道”をつくる

何度試しても咽頭部で引っかかる。

そんなとき、無理に押し込むのではなく、患者さんの首をゆっくり右または左へ回旋させてみてください。


頸部を回旋することで咽頭や食道入口部の形状が変化し、胃管が食道方向へ誘導されやすくなることがあります。


経験的には、「どうしても入らない」と感じていた胃管が、首の向きを変えただけでスルッと通ることも珍しくありません。


ただし、頸椎疾患や頸椎固定術後など、頸部運動に制限がある患者さんでは無理に回旋させないよう注意しましょう。



コツ⑥ 高齢者では45〜50cm付近が難所

高齢者の胃管挿入では、45〜50cm付近で抵抗を感じることがあります。


その背景には、食道裂孔ヘルニアや食道胃接合部の狭窄などが隠れていることがあります。

抵抗を感じたら、決して力任せに押し込まないこと。


少し戻して角度を変えたり、ゆっくり前後させたりしながら慎重に進めます。


「押せば入る」は危険な考え方です。

時間をかけることが、結果的に患者さんの安全につながります。



コツ⑦ 最後まで気を抜かない―位置確認が命を守る

胃管が入った瞬間、ほっとする気持ちはよく分かります。


しかし、本当に大切なのはここからです。


栄養剤や薬剤を投与する前に、必ず胃管の位置確認を行いましょう。


胃液の吸引やpH測定も参考になりますが、最も確実なのはX線撮影による確認です。


ここで忘れてはいけないポイントがあります。


ワイヤー付き胃管を使用している場合、レントゲン撮影前にワイヤーを抜いてはいけません。


ワイヤーが入った状態の方が胃管の走行がはっきり描出され、胃内まで到達しているかを確認しやすくなります。


位置確認が完了してからワイヤーを抜去する。


このひと手間が、重大な合併症を防ぐことにつながります。

胃管挿入で最も大切なのは、「無理に押し込まないこと」と「確実な位置確認を行うこと」。

ベテランほど、力ではなく工夫と観察で胃管を挿入しています。




胃管挿入の技術は、単に「早く入れること」ではありません。


患者さんの苦痛をできるだけ減らし、安全に、確実に留置すること。そのために、体位を整え、嚥下を待ち、無理をしない勇気を持つことが何より大切です。


経験豊富な医療者ほど、「力で押し込まない」ことを知っています。


脳神経外科の患者さんは、意識障害や嚥下障害を抱えていることも多く、胃管挿入には細やかな観察と判断が求められます。

だからこそ、一つひとつの工夫が患者さんの安全につながります。


今回ご紹介した7つのコツが、皆さんの日々の臨床の助けになれば幸いです。



私たちは、脳神経外科医や看護師、コメディカルが明日からの臨床に活かせる知識を発信しています。


「現場で本当に役立つ知識をもっと知りたい」

そう感じた方は、ぜひ他のコラムもご覧ください。


そして、セミナーやSNSでも一緒に学んでいきましょう。

臨床の“なぜ?”が、“なるほど!”に変わる瞬間を、これからもお届けしていきます。


 
 

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