血栓回収後に血圧は下げなくていいの!?
- 下田 沙緒里
- 4月3日
- 読了時間: 2分

みなさんは、急性期脳梗塞の患者さんに機械的血栓回収療法(カテーテルを使って詰まった血栓を取り除く治療)をした後、」血圧を下げたほうがいいと思っていませんか?
実は、これまでの脳卒中治療ガイドラインでは、
「血栓回収後は血圧を140mmHg以下にすることを考慮すべき」とされていました。
しかし、最近の研究で新しい事実が分かってきました。
ある臨床研究では、血栓回収後に
• 通常の血圧管理(140〜180mmHg)をしたグループ
• 厳しく血圧を下げる管理(140mmHg以下)をしたグループ
を比べたところ、
血圧を厳しく下げたグループの方が、患者さんの回復が悪くなるという結果になったのです。
この研究は途中で中止され、ほかの研究でも同じような結果が報告されました。
そのため、現在では「血栓回収後の血圧は140〜180mmHgに保つのがよい」と考えられています。
なぜ血圧を下げすぎるとよくないのでしょうか?
それは、脳梗塞が起きると、脳の血流を調整する機能が弱ってしまうからです。
血圧が低すぎると、脳に十分な血液を送ることができず、さらに脳のダメージが広がってしまうのです。
おそらく、次の脳卒中治療ガイドラインにも「血栓回収後の血圧は140〜180mmHgで管理する」という内容が加わるでしょう。
「血栓回収後の血圧は140〜180mmHg」
このポイントをぜひ覚えておいてください!
実は、このことを知らない脳神経外科医もまだ多いんです。
みなさんが教えてあげることで、よりよい治療につながるかもしれません。
機械的血栓回収療法が日本で本格的に普及し始めて約10年。
まだまだ分からないことも多く、新しい発見も続いています。これからも、一緒に勉強していきましょう!
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